アゴがカクカク・痛い~顎関節症
「あごが痛い」
「硬いものが噛めない」
「口が開きずらいし、大きな食べ物が食べにくい」
「あごを動かすとカクカク、ザリザリ音がする」
このような症状だと、どの診療科の医院にかかっていいのか?迷います。
それらの症状の場合、顎関節症(がくかんせつしょう)によるものかも知れません。
顎関節症とは、どのような病気なのでしょう?
顎関節症とは?
顎関節(がくかんせつ)は、口を開け閉めする時に使う関節で、ちょうど耳の穴の前付近にあります。
顎関節症は、この部分が痛い、大きな口を開けられない、口の開け閉めがスムーズにできない、カクカク、バキッ、ザリザリ、ミシミシという音がする、などが主な症状です。
発症する割合は、女性の方が多く、男性の約2~4倍と言われてます。
顎関節症の副症状に、頭痛、肩こり、めまい、耳詰まり、鼻詰まり、首の痛み、食いしばりなどが起こる場合があります。
顎関節症の診断はどのようにするのでしょうか?
顎関節や筋肉の痛みや、口の開けにくさ、関節雑音のうちの一つ以上が当てはまり、それらの症状が親知らずや他の炎症よるものではないと確認する必要があります。
顎関節症の症状別分類
症状別には、下記4つの分類が出来ます。
1.顎関節痛障害
顎関節自体の痛みが主な症状
2.顎関節円板障害
関節円板(顎関節の中の骨と骨の間にあるクッションの役割をしている)にズレが生じ引き起こされるもの
3.変形性顎関節症
顎関節を構成する骨が変形していることによるもの
4.咀嚼筋痛障害
あごを動かす筋肉自体に痛みが生じるもの
上記に加え、昨今は顎関節や咀嚼筋の傷害だけでは説明のつかない社会的なストレスが痛みのに原因に関係しているとも言われています。
顎関節症の原因は?
日常生活の中で、顎の関節や筋肉に負担が複合的に掛かり発症するという説が有力です。
顎の関節や筋に負担がかかる要因は以下のとおりです。
1.元々の顎関節や顎を動かす筋肉の構造的弱さや関節円板のずれ
2.かみ合わせの悪さによって顎の関節や筋肉が正常の動きをせず、顎自体に負担をかけてしまう
3.歯ぎしりや食いしばり
4.精神的ストレス(精神的な緊張は、筋肉を緊張させます)
5.顔面打撲や事故による外傷
6.唇や頬の内側をかむ癖、爪を噛む癖がある、頬杖をつく、猫背などの不良姿勢、うつ伏せ寝などの生活のなかでの不良習癖
7.硬いものをよく噛むことによるアゴの酷使や左右どちらか一方でばかり噛む癖がある
8.吹奏楽やバイオリンなどの楽器をしている
9.TCH(Tooth Contacting Habit )
※「歯の接触癖」という意味です。
人間は口を閉じていても、上下の歯は接触していないのが普通です。
しかし、口を閉じている時に上下の歯が噛んでいる癖のある方がいます。
その状態が、顎の関節や筋肉に持続的な負担をかけます。
以上9つの要因が複合的に重なり、顎に対する負担が耐えきれなくなると、顎関節症の症状が出ます。
治療は医学的アプローチだけでなく、顎に対する不良な生活習慣があればそれも治す必要があります。
顎関節症の治療法と家庭療法について
下記のいずれも医師の指導のもとに行うことが肝心です。
理学療法
1.患部のマッサージや湿布
2.レーザー照射などの物理療法
3.顎関節の筋肉や靭帯などの柔軟性を改善するストレッチ
4.開口量を増大させる下顎可動化訓練などの運動療法
5.歯軋りが強い方には上の歯にマウスピースをつけるスプリント療法
※痛みの激しい急性期には、理学療法は避け消炎鎮痛薬を先行して用い痛みが少しやわらいでから行うと良いでしょう。
不良習癖の改善のための生活指導
1.大きな口を開けない
2.硬いものやスルメのような長く噛まないといけないような食べ物は避ける
3.うつ伏せ寝や頬杖をやめる
4.猫背を正し姿勢をよくする
5.バイオリンや吹奏楽で使う楽器類を一時的にやめる
6.リラックスに努めるなどです。
家庭療法:急性期と慢性期に分けて考える必要があります
急性期:痛みの強い急性期のセルフケアですが食事の仕方などにも注意が必要です。
1.食品は小さく切り分け大きく口を開けないで済むサイズに調理する
2.するめやフランスパンのように、かみ切るのに力や時間がかかるものは避ける
3.あくびをするときは、出来るだけ大きく口を空けないようにする
4.氷水を入れたビニール袋を患部に当てて10分程度冷やす
※冷やしすぎない、あくまで10分以内に抑えることが肝心
5.冷やしたらゆっくりと無理のない程度で口の開閉運動を行い顎の関節を動かす(筋肉を引き延ばすイメージで)繰り返してこれを1日何回か行う
慢性期:痛みが少し和らいだのセルフケアについてです。
1.蒸しタオルを5分ほど患部に当てて温める
2.親指の付け根や2~3本の指先でゆっくり押し回すようにマッサージする(痛みを強く感じるほど激しくマッサージしない)
そして無理しない程度に少し痛みを感じるくらいの感覚で関節を動かしたり筋肉を引き延ばす訓練を行うと痛みの改善が早まります。
※間違った家庭療法を行うとかえって症状の悪化を招きますので必ず歯科医師の指示のもと適切に行ってください。